研究会開催の背景
宇宙初期から現在に至るまでの天体 (分子ガス, 星/星団, 銀河) 形成, およびその進化の解明は天文学の最も大きな課題の1つである。
われわれの銀河系外縁部や大小マゼラン雲をはじめとする近傍銀河は、太陽近傍領域についての研究だけでは決して埋めることのできないパラメータースペースを高空間分解能での観測でカバーすることのできる最適なターゲットとなっている。特に低金属量環境下についての研究は初期宇宙の天体形成や進化についての知見が得られる可能性が期待される。
近年の観測技術の進化により、このような環境下にありながら個々に空間分解された星やそれらの原始惑星系円盤、そして0.1pcスケールでのガスの観測などが可能になり、太陽近傍領域より得られた結果との直接の比較が可能になりつつある。
同様に理論分野では大規模並列計算機を用いた多次元流体シミュレーションの発展により、多様なスケールにおける天体形成や化学進化過程の金属量依存性が定量的に明らかになってきた。
本研究会では銀河系外縁部や近傍銀河での観測成果と関連する理論研究の成果を共有し、ALMAやJWSTをはじめとする今後の観測戦略の検討を目的とする。また初期宇宙の天体形成から銀河形成・進化まで幅広い分野の観点から, 今後の長/中期的な研究/観測戦略についても議論したい。
なお、この研究会は平成30年度より開始した新学術領域研究「新しい星形成論によるパラダイムシフト:銀河系におけるハビタブル惑星系の開拓史解明」(代表: 名古屋大学・犬塚修一郎)の支援を受けて開催いたします。
世話人(五十音順)
泉奈都子 (ASIAA), 下西隆 (新潟大), 徳田一起 (大阪府立大/国立天文台), 仲谷崚平 (理研), 福島肇 (筑波大),
古家健次 (国立天文台), 百瀬宗武 (茨城大学), 安井千香子 (国立天文台)