研究会開催の背景
星形成の母体となる分子雲は磁場や乱流などの複数の物理的要因が絡み合う系であり、数 10 pc 以上に広がった薄く広がった成分から 0.1 pc オーダーの幅/大きさを持つ分子雲フィラメント/コアなど非常に豊かな階層構造を経由して原始星が形成されます。このように 分子雲の サイズや密度は進化に応じて数桁に渡って変化し、それに伴って化学組成も多様性に富んでいることから、進化の全体像を包括的に理解し星の多様性の起源に迫ることは 非常に挑戦的な課題と言えます。さらに、近年のALMA 等による観測により銀河系とは異なる環境(例えば、金属量や紫外線量)においても分子雲を十分空間分解した観測が進み、対応する理論研究との比較も現実的な研究テーマになりつつあります。本研究会では星形成 に関わる様々な空間スケールおよびパラメータスペースを調べた最先端の理論的/観測的研究を共有し、今後の展望を活発に議論したいと考えています。
若手研究者のネットワーキングの場を主眼とした研究会
このコロナ禍において、対面形式の研究会の開催は不可能になったもののオンラインツールの活用により発表の機会は担保されるようになってきました。一方で議論の時間があまり取れないこと、ネットワーキングの場として役割を果たすことが難しいことなどいくつかの課題が浮き彫りになりました。特に若手研究者にとっては 2~3 年後の進路を検討する上でこの問題は深刻となり得ます。本オンライン研究会は若手研究者(大学院生およびPD等)の発表を優先し、可能な限り議論の時間を多く確保したいと考えています。また分野横断的な研究を進められてきた 2 名の先生にレビュー講演をしていただくとともに、昨今、競争 が激化する大型望遠鏡共同利用の時間の獲得を目指して、観測提案の書き方のノウハウ等を最先端で活躍されている研究者の方々と共有/議論するセッションを企画します。
キーワード:
分子雲, 分子雲フィラメント, 分子雲コア, 原始星, アウトフロー, 星間化学, 偏波観測, 磁気流体(MHD)シミュレーション, 初期質量関数, 分子雲形成, 連星/多重星形成, 大質量星/星団形成, 銀河系とは異なる環境下での星形成
世話人(五十音順)
安部大晟 (名古屋大), 大小田結貴 (東京大学), 小林将人 (東北大学), 竹村英晃 (総研大 /NAOJ), 徳田一起 (大阪府立大学/NAOJ), 原田直人 (九州大学), 福島肇 (筑波大学), 松下祐子 (NAOJ)